抵当権

抵当権の消滅請求

抵当権消滅請求って何?
誰が請求できるの?
いつ請求できるの?
請求された側は拒否できる?

こういった疑問を解説します。

抵当権消滅請求とは

抵当不動産の第三取得者が抵当権者に対して、抵当権の消滅を請求できる権利。

民法379条
抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、
抵当権消滅請求をすることができる。

抵当権消滅請求の要件

1. 抵当不動産の所有権を第三者が取得
2. 第三取得者からの消滅請求の申出
3. 登記簿に記載されているすべての債権者の承諾
4. 申出額の払渡し又は供託

誰が請求できるの?

できる人

抵当不動産の所有権を取得した者(第三取得者)

できない人

・主たる債務者
・保証人(主たる債務者同様、被担保債権全額の弁済義務を負っているから)
・上記の承継人
・停止条件付第三取得者(その停止条件の成否が未定である間は請求不可)
・抵当不動産の譲渡担保権者(受け戻しの余地がある間は、所有権を確定的に取得していないから)
・共有持分を取得した第三者(抵当権者は抵当不動産を全体で一つとして把握している。また、共有持分は競売しても大して値がつかないため分割されることによって抵当権者が不利益を被るため)

民法380条

主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、
抵当権消滅請求をすることができない。

取得原因の対象

・有償無償は問わない
・売買、贈与、財産分与など(相続は対象外)

いつ請求できるの?

・第三取得者がいれば請求可能
・抵当権の実行としての差押えの効力が発生するまでに請求する必要がある

民法382条
抵当不動産の第三取得者は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に、抵当権消滅請求をしなければならない。

請求方法

抵当権者全員に対して書面を送達。
(登記簿に載っていない抵当権者は、第三者対抗要件がないため無視して問題ない)

書面の中身

例)私が〇〇円負担しますので、抵当権消滅請求に応じてください。

請求された側は拒否できる?

通知の到達から2か月以内にどちらかを選択しないといけない
①申出額を支払って抵当権の消滅に応じる
②申出額が少なすぎるため、抵当権者から競売を申し立てる

何もしないうちに2か月が経ってしまったら?

申出額を承諾したものとみなされる。

登記申請書ひな形

※原因日付は、下記のいずれか遅いほうの日にち
・払渡し又は供託の日
・抵当権者の承諾又はみなし承諾の日

※判断ポイント
1. 登記簿に記載があるすべての抵当権者に登記事項証明書を添付して抵当権消滅請求をする金額を通知しているか。
2. すべての抵当権者がそれを承諾又はみなし承諾がされているか。
3. 承諾金が払渡し又は供託されているか。