寄託とは?
受寄者にはどのような義務が課せられる?
寄託を解除できる?
このような疑問を解説します。
寄託とは
寄託者(預けたい人)が受託者(預かってあげる人)にものを預け、保管してもらう契約。
民法657条
寄託は、当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを受諾することによって、その効力を生ずる。
受寄者の義務
寄託物を預かっている際の注意義務
無償寄託
自己の財産と同一の注意義務
有償寄託
善良なる管理者の注意義務(善管注意義務)
寄託者の義務
報酬支払義務
寄託者は、受託者が途中で保管を終了した、又は保管をすることができなくなった場合、既にした履行の割合に応じて報酬を支払わなければならない。
損害賠償義務
民法661条
寄託者は、寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない。ただし、寄託者が過失なくその性質若しくは瑕疵を知らなかったとき、又は受寄者がこれを知っていたときは、この限りでない。
寄託の解除
Q: 受寄者は、寄託物を受け取るまでであれば契約の解除はできるか?
書面による寄託
無償寄託
原則、解除できない (書面は強い!)
有償寄託
原則、解除できない
書面によらない寄託
無償寄託
解除できる
有償寄託
原則、解除できない
Q: 有償寄託又は書面による無償寄託の受寄者は絶対に寄託物の受取りまでに契約を解除することはできないのか。
寄託物の受取り時期を過ぎているにもかかわらず寄託者が寄託物を引き渡さず、受寄者が相当の期間を定めて引き渡しの催告をしても引き渡さない場合は、解除できる。
民法657条2第3項
受寄者(無報酬で寄託を受けた場合にあっては、書面による寄託の受寄者に限る)は、寄託物を受け取るべき時期を経過したにもかかわらず、寄託者が寄託物を引き渡さない場合において、相当の期間を定めてその引渡しの催告をし、その期間内に引渡しがないときは、契約の解除をすることができる。
預けたいと言ってる本人が寄託物を引き渡さないのであれば、いつまでも待つ必要はない。
寄託物の返還
期限の定めがある場合
寄託者
いつでも返還請求することができる (無償・有償を問わない)
受託者
やむを得ない事由がない限り、期限前に返還できない(無償・有償を問わない)
┗事情があって期限を設定している場合、寄託者は期限前に寄託物を返還されても困ってしまう場合がある
期限の定めがない場合
寄託者
いつでも返還請求することができる
受託者
いつでも返還することができる